2010年8月30日月曜日

霧と影

【今日の本】「霧と影」水上勉:著 新潮文庫:刊
 エッセイ以外の水上勉さんの本は初めてかも知れない。心臓の手術をされてからの「電脳暮らし」や不破哲三さんとのエッセイ、また若狭について語ったエッセイ的な本は何冊か読んだことがあるが、本格的な小説をほとんど読んでいなかった。この本を読んだきっかけは、青郷地区を中心に、若狭地方が舞台になっているから。青峨山=青葉山、三本松=三松、青峨小学校=青郷小学校、加斗、本郷、高浜などはそのまま使っておられる。また、笠井早男が死んだ崖は音海の断崖か?そうすると、猿谷郷とは音海?高野?今寺?また、宇田甚平のモデル、神社に言葉を書き残して上京したというモデルは一瀬雷信さんなのか。そして、桑子の話、なんともおどろおどろしい。
 秘境の怪奇、そこに住む人々の宿命、呪われた人生、人間の業が背景に描かれる。そこに、どんどん引き込まれていく。癖になりそうな、妙なおもしろさがある。その土地が生む話とでもいうか。

2010年8月19日木曜日

子ども・ことば・授業 第19号

「子ども・ことば・授業 第19号」 東海国語教育を学ぶ会:編 刊
 8月9日〜10日、東海国語教育を学ぶ会の「第12回授業づくり・学校づくりセミナー」に参加してきました。大変たくさんの参加者でびっくりしました。著名な講師の話が聞け、授業をビデオで紹介してもらえるということもあり、ビデオ持参の人が目立つことと、席が前の方から埋まっていくという積極的な参加者が目立つ会でした。今回の目的は、石井順治さんの話を伺うことでした。出版されている本はほとんど読ませていただかせており、どんな方なのか、一度お目にかかりたいと思っていました。先生は、聴くということを教育の基本に考えて実践されておられる。そのことは、その後の対談や研究会での助言等に現れていました。すばらしい実践家です。
 この冊子は、紀要のようなもので、内容は、①実践報告2本(「ひとつの花」、「川とノリオ」)、②論文「学ぶこと・考えること」、③会員の綴る「例会と私」の3部構成となっており、特に石井先生の実践を読ませていただきました。
 この論文を読む以前に、以下のような課題について思いをめぐらせていました。
①低学年における「学び合う学び」をどう考えるか。
②「学び合い」を何かレベルの高い話し合いのようにとらえていないか。
③どんなときに、グループでの話し合いを取り入れると有効なのか。
  そんな日ごろの疑問にスパッと答えてくれる内容でした。

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン

【今日の本】
「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」カーマイン・ゼロ:著 井口耕二:訳 日経BP
「スティーブ・ジョブズの再臨」アラン・デビッチマン:著 大谷利明:訳 毎日コミュニケーションズ
 パワーポイントが起動する。最初に「タイトル」と「サブタイトル」入力する。でも、これがいけない。なるほど、ジョブスのプレゼンには文字はほどんとでてこない。文章と箇条書きは買い物の時以外はあまり役に立たない。なるほどなあ。そして、プレゼンの質を高めたいなら、パワーポイントを開く前に「ストーリー」を作ることが大事だと。そして、印象に残る「ヘッドライン」をつくること。これだけは覚えてかえってほしいアイディア?とでもいうものか。パワーポイント自体は悪くないソフトだと思うが、その前にすることがあるということを学ばせてもらった。400ページほどある本だが一気に読めた。普段作っているプレゼンはまさに面白くないものでした。(反省)
 その勢いで2冊目も読んだが、こちらは期待はずれ?。ブックオフで買ったのだが、それだけのものでした。ということで、特に報告なし。
 「プレゼンティーションZen」という本を前後して読んでいるが、こちらもシンプルなことがよいというような内容で、やはりジョブズが取り上げられている。続けて読んでいきたい。

2010年8月15日日曜日

乙女の密告

【今日の本】「乙女の密告」赤染晶子:著 新潮社:刊
 芥川賞受賞作品、舞鶴市出身、外大の卒業生とういうあたりに惹かれて購入。「アンネの日記」が取り上げられているということも興味深かった。感想を正直に言うと「わけのわからなさ」かな。アンネ・フランクが過ごした疑心暗鬼な隠れ家での生活と現代の「乙女」たちの閉鎖的な心理が重ねられているところがおもしろいのか。面白い作品でした。でも、「アンネの日記」というと少女の気持ちを綴ったものという見方もあるが、決してそうではない気がする。
2年ほど前、新装版の文庫本を読もうと挑戦したが挫折してしまったので、再度挑戦するかな。

2010年8月6日金曜日

橋はかかる

【今日の本】「橋はかかる」村崎太郎・栗原美和子:著 ポプラ社:刊
 「太郎が恋をする頃までには…」「ボロを着た王子様」に続く夫婦での3作目ということになるのでしょうか。3冊とも持っていて、でも、「太郎が恋をする頃までには…」だけ全部読んでいない。「ボロを着た王子様」を読んだときは、正直、何を今さらっていう感じでした。今さらカミングアウトなの?みんな知っていることじゃないのかと。でも、そうでもなかった、そのことが驚きでした。そして、これらの本を出すことに、村崎さんの家族が反対したことにも驚きでした。ええっ、そうなんだと。だから、あまり、おもしろいとはおもいませんでした。この3冊目は、古本屋で半額で買いました。今年の6月に出たものが、もう古本屋で買える?これも驚き。でも、いろいろといい方向にむいているようです。個人的には、猿廻しの大ファンなので、またみられるようになってほしいと思います。3冊目で、少し肩の荷がおりたという感じでした。がんばってください。

2010年8月4日水曜日

これならできる山づくり、鋸谷式間伐マニュアル

【今日の本】
「これなあできる山づくり」鋸谷 茂・大内正伸:著 農文教:刊
「新 鋸谷式間伐マニュアル」鋸谷 茂:監修 大内正伸:著 全国林業改良普及協会:刊

 鋸谷式間伐法とは、間伐手遅れの人工林を健全な植生の人工林にする技術です。つまり、必要な木材と豊かな自然環境を供給する方法です。「山は畑ではない」という考え方に感銘を受けました。そして、非常に具体的なデータに基づいていることにも。林業にはあまり関心はないのですが、なるほどなあ、これならできるかもと思ってしまいました。このように取り組まれているか方が非常に身近におられることにも感動しました。お会いしてお話を伺ったことはあるのですが、そのときは別の話だったので。息子が環境問題や森林問題に興味があるということなので、知らせてやろうかと思いました。