佐藤先生の新刊である。雑誌「総合教育技術」に2018年から2021年にかけて掲載された記事をまとめたものである。コロナ禍、さらにポストコロナの教育の道しるべといえる内容である。久しぶりの佐藤先生の本であるが、いつもながら明快である。いつものように、気になったところを書き留めておきたい。
②わからない子供たちがグループの仲間にわからない、ここどうするのと尋ねることができ
るようになること。
③ジャンプの学びが、すべての授業において挑戦されること。
※ある学校における実践のまとめとして書かれていることではあるが、どこにもあてはまる
と思えるので書き留めておく。
2 学びは、人権の中核であり、生きる希望の中心である。
学びの共同体の改革は4つの規範を特徴としている。尊厳、信頼、互恵、共同体。
3 1人も独りにしない学び合う関係と、ひとり残らず、学びの主人公にする共同的学びが、
学校文化のとして深く根づいている。
※1と同じような内容である。「学校文化として深く根づく」というところが重要であると実
感する。人権の中核という指摘であるが、人権、人権教育といいながら、いや言えば言うほ
ど逆のことになっている現状があるのではないか。一斉指導から抜けきれない現場がある。
4 算数・数学においては、子供たちに必ず量的関係の図(タイル図、テープ図、数直線図な
ど)を書くことを習慣化させてほしい。
これは、学校づくりとは少し外れますが、実際に授業に関わっていて、切実に感じていた
ことだったので、思わず書き留めておきました。すぐに式を書いてしまうので。
5 場の理論ということ。行動主義の心理学において人の行動は、刺激と反応で説明され、行
動主体においては動機と意図で説明されていた。レヴィンの場の理論はこの見方を根本的に
転換することを要請したのであると。申し訳ありませんが、レヴァンの場の理論については
まったくの不勉強です。本書には、以下のように説明がありました。
例えば、教室から飛び出す子供の行動を考えてみよう。その子は動機と人によって飛び出し
たのだろうか。彼、彼女は、教室にいられない状況に陥り、いたたまれない気持ちで飛び出し
ている。その行動を理解するには場の理論の方が行動心理学の解釈よりもはるかに有効であ
る。
教室から飛び出す子供の行動の背景には、彼・彼女の学びを誰からもケアされない状況があり、さらに言えば、あの子さえいなければいいのにという教師と子供たちの無意識の中に隠された眼差しと心情がある。この場の力学によって、彼・彼女の行動が生まれていると言えるだろう。その子の指導よりも、むしろその子を受け入れ、ケアすべき他の子供たちの指導が求められるのであり、その方が有効なのである。
逆に、様々な困難を抱えた子供たちが夢中になって学びに専念している状況を想定してみよう。ここでも場の理論は有効である。その子を学びへと誘っている基盤には、彼・彼女の学びを飲み込んで受け入れる教師と他の子供たちのまなざしとケアの関わりがあり、その場の力学が彼彼女の学びの行動を生み出している。
以上が引用である。十分に理解して説明できなかったので、長文ですが引用しました。
クルト・レヴィンの図書については、是非読んでみたい。
6 「プラン」と「デザイン」について。「プラン」は実践に先立って決定されているが、
「デザイン」は実践の過程で修正され変更される。「プラン」は対象を統制する指向性を持
っている。しかし、「デザイン」は状況との対話であり、「プラン」とは異なる対象との関
係を生み出している。「プラン」を先導しているのは目標であり、「プラン」は目標を達成
するためのプランである。「デザイン」を先導しているのはビジョンである学びのあり方の
ビジョンの実現を追求している。
7 学びの共同体における文学の授業
①テクストとの対話を中軸として、一人一人が学びの主人公として個と個のすり合わせによ
る多様な深い学びを読みを実現してきた。
②テキストの言葉の多様性と象徴性を尊重し読解ではなく読み書きを追求した。
③テクストを教材とするのではなくご馳走として味わう学びを追求したしてきたこと。その
ために、主題を追求しない、気持ちを問わない、なぜと問わないことを原則としてきた。
8 卓越した学校の特徴
①一人残らず子供の学びの権利が実現し、質の高い学びが教師と子供の双方において受給さ
れていること。追求されていること。
②引き合う関係を基礎として探求と共同の学びがどの授業においても実現し子供たちが1人
残らず授業の最初から最後まで学びの主人公として夢中になって学び合っていること。
③教師たちが教える専門家ではなく学びの専門家として成長し学びのデザインとコーディネ
ーションとリフレクションにおいて卓越した専門性を発揮していること。
④学校と教師の文化が競争の文化から共同の文化えと転換し子供の間にも教師の間にも学び
とケアの共同体が実現していること
9 テクノロジーは、貧弱な学びをより貧弱にし、豊かな学びをより豊かにする。
※そのとおり。
10 発達の最近接領域の3つの示唆
①学びは共同によって実現する。
②学びは最初に共同において実現しその次に共同の学びがないかされて個人の学びが実現す
る。
③学びの課題は個人の発達レベルに合わせるのでなく共同の学びが到達できるレベルに合わ
せるべきである
11 学びの共同体は、「協力的な学び」でなく「共同的な学び」を実現している。
①学びの目的を学力の向上ではなく、ひとり残らず学びの権利を実現することと質の高い学
びを追求していること。
②一人一人が学びの主人公になる民主主義を追求していること。
③学びの共同体と共にケアの共同体を追求していること。
④真正の学びを追求していること。
12 通常の学校の授業研究の目的は、授業改善であり、有能な教師の育成、そして学力の向上
である。それに対して、学びの共同体の授業研究の目的は、①ひとり残らず子供の学ぶ権利
を実現すること。②質の高い学びを創造すること。③同僚生徒自律性を構築すること。④教
室と学校を民主化することにある
授業研究の対象は、通常の学校の授業研究の対象は指導案と教える活動の計画でありその
検証である。それに対して、学びの共同体の授業研究の対象は、学びの事実の省察であり学
び合う関係とケアの関係の省察である。すなわち学びの共同体の授業研究は、教え方の研究
ではなく学びの研究であり、どこで学びが成立し、どこで学びがつまずき、どのような学び
の可能性を潜んでいたかを事実に即して省察する研究である。
長文になったので、誤字脱字等がある可能性があります。ご了承ください。こういう書き方は、全く自分のために書いているので、他の人が読んでも意味というか価値がないですね。
大変久しぶりの投稿になりました、もう少しテンポよくしていきたいと思います。