2024年12月27日金曜日

宮沢賢治のちから

【今日の本】「宮澤賢治のちから」山下聖美:著 新潮新書:刊


 今年は、宮澤賢治さんが大正13年(1924年)に詩集「春と修羅」童話「注文の多い料理店」を刊行されて100年になる。記念の年ということから、さまざまな企画があった。例えば、最近だけでも、11月に、NHKの『歴史探訪』という番組で「宮澤賢治と銀河鉄道の夜」が放送され、同じころに宮澤賢治を取り上げた『こころの時代』の再放送もあった。

 現在では、とても有名で、多くの作品が読み親しまれている宮澤賢治さんも、上記の2冊を出したときには全く売れず、一般の人には見向きもされなかった。(草野心平さんや高村光太郎さんなどが注目したに過ぎない)。

 生きているうちから有名で、いまも読み続けられる作家は多いが、宮澤賢治さんのように、生前はまったく無名だが、没後これほどまでに有名になる人はめずらしいだろう。そのため、宮澤賢治さんについては、よく知られておらず、わからないことも多い。したがって、作品のイメージで宮澤賢治さんを語ったり、作品の通りの人だろうと考えたり、一面的な見方をしがちだったりとさまざまである。

 時には、その興味関心の違いから論争になったりもする。例えば、前述のNHKの『歴史探訪』「宮澤賢治と銀河鉄道の夜」について、宮澤賢治さんと宗教とのかかわりにまったくふれられなかったと批判する意見がネットに書かれていた。本の数だけ、学者や評論家の数だけ宮澤賢治論があるといっても過言でない。

 そこで、この本である。多面的に宮澤賢治さんを知ろうとする入門書的な本である。批判的?(揶揄している?)ととれるようなところもある。これから、さらに深く研究しようという自分にはピッタリな本でした。作品を読み返したり、法華経を読んだりしながら、宮澤賢治さんについてさらに深く探っていきたい。

 久しぶりの本の紹介。1か月以上前に読んだのですが、刊行100年の年の内に書くことができて一安心。

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