2022年4月6日水曜日

風雲児たち 解体新書に挑む

【今日の1冊】 「風雲児たち 解体新書に挑む」みなもと太郎:著


 コンビニで売っているコミック。「ターヘル・アナトミア」の壮絶極まりない翻訳過程を描いた物語。翻訳については有名な話なので、説明はしません。ここでは、これを読んで、以前から気になっていたことについてふれます。それは、出版された「解体新書」の訳者に、前野良沢の名前がない理由についてです。

 一般的に歴史の本などでは、「解体新書」の翻訳に尽力した人として、杉田玄白・前野良沢・中川淳庵・石川玄常・桂川甫周があがっています。実際、翻訳作業は前野良沢の家に集まって行われたことになっています。しかし,発行された「解体新書」には,杉田玄白・中川淳庵・石川玄常・桂川甫周の名前しかありません。これが、以前から不思議でした。

 これには、杉田玄白と前野良沢の意見の相違があったわけです。杉田玄白は,人体の内部構造について、早く「ターヘル・アナトミア」を紹介しなければと考えていましたが、前野良沢は,翻訳の完成度が低いことに納得がいかなかったのでした。したがって、前野良沢は、発行を急ぐ玄白に,自分の名前の掲載を断ったのでした。その場面、「いってはならないことをいってしまった・・・!」は、漫画では印象的です。2ページの見開きとなっています。

 それほどに良沢という人は,正確さや完璧(かんぺき)さにこだわる人だったのです。玄白も不十分な点があることは感じていたようで,のちに,弟子の大槻玄沢(おおつきげんたく)に改訂を命じています。

 余談ですが、この翻訳作業にも間接的に関わることになる「平賀源内」については、よくわかっていないことが多いです。一度、まとめて調べてみたいと思います。


【追加】

 今日、昨年の秋にとれたオオキンレイカの種をまきました。出来不出来があるのですが、とりあえず手元にある種を全部蒔きました。5ケースになりました。このうち、いくつ芽を出すか、お楽しみです。

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