2022年9月28日水曜日

哀しい運命の人々 二日市保養所

【今日の1冊】「哀しい運命の人々 二日市保養所」大津誠一郎:著 文芸社:刊

 終戦後、満州や朝鮮北部から命かながら引き揚げてきた人々の中に、現地で乱暴され、心身共に深い傷を負った女性達がいた。引揚げ問題というと、満州からシベリアに抑留された兵隊などの悲劇がクローズアップされるが、ソ連の侵攻によって、朝鮮半島や葫蘆島から引き揚げてきた一般の方々(女性や子どもたち)の悲惨な状況も同じように語り続けることが重要であると思う。

 「堕胎罪」が存在した時代、場合によっては医師免許が剥奪される可能性もあるそんななか、福岡県二日市町に設けられた医療施設「二日市保養所」を舞台に、過酷な運命を背負わされた女性達を救済し、“新たな人生の一歩"へ導くべく日々奮闘した医師、看護婦達の姿を描いた物語である。 

 戦争を起こすのは指導者、支配者という立場の人々であるが、その犠牲になるのは、いつも女性や子どもたちである。戦争が起こるたびに、同じことが繰り返される。だから、戦争は2度と起こしてはならないのである。人類はそう決意したはずなのに、しかし、である。

2022年9月20日火曜日

棚園正一さん2作

【今日の1冊】

「学校へ行けなかった僕と9人の友だち」 「学校へ行けない僕と9人の先生」

 以前に読んだ本と合わせると、「学校だけが居場所じゃない」「普通ってなに」というメッセージが共通のテーマとしてあるように感じる。

 1作目は、どんな道だって、自分だけの道が必ずあるということだと思う。著者は、定時制、専門学校、フリースクール、バイト先など様々な居場所で「友だち」とつながっている。

 2作目は、なんといっても、鳥山明先生と出会えたことで、著者は生きる希望を見つけることができたと言える。9年間の9人の先生との出会いと別れは、いろいろと考えてしまう。よくも悪くも、傷つきながら成長していったのでしょうが、いじめや不登校について、学校の指導の限界を感じてしまう。結果として、もがきながらも、自分の道を見つけたことが幸いでした。みんなが同じ様になるとは思えないが、この漫画を参考に、もがきながら、自分の道を模索してほしいと願います。



2022年9月15日木曜日

学校に行きたくない君へ

 【今日の1冊】「マンガで読む 学校へ行きたいくない君へ」棚園正一:著 ポプラ社:刊


 棚園さんは、漫画家であり、ご自身の不登校の経験を漫画にかいたり、講演会などをされたりしておられる。それらをとおしての、たくさんの人と出会う経験から、不登校の原因・理由は様々で、どうしたらいいかという正解や特効薬なんてないということに気づかれたと書いておられます。それぞれの人たちの経験は違いますが、それぞれの人たちがどうやって自分の生き方を見つけたのかがわかりやすく書いてあります。

 人生に「正解」なんてないんだ、いつからでもやり直しができるんだと思わせてくれます。僕には無理と思わないでほしい、そして、決して無理をしないでほしい。このマンガを読む子どもたちやその周りの人たちのヒントに少しでもなればいいと思います。

 「学校へ行けなかった僕と9人の友だち」も注文してしまいました。

2022年9月14日水曜日

サンワダイレクト ケーブルホルダー

 【最近購入したもの】「サンワダイレクト ケーブルホルダー」


 ライトニングケーブルやUSBケーブルを机等に固定しておくフォルダー。ベース1枚とフォルダー5このセット。机の周りに散乱していたり、机から落ちたりして、取りにくかったり、散らかって見苦しかったのを、きれいに整頓するフォルダー。フォルダーが固定されていて、そこに挟むものもありますが、ベースにまとめておくこともできますが、机等の金属(鉄)部分(柱など)に着くので、ちょっと止めておくのにも便利です。そして、磁石がかなり強力です。整理に困っていたので、ネットで見て即購入しました。これは便利です。


2022年9月13日火曜日

風のように

 【今日の1冊】「風のように」ちばてつや:著 久志本出版:刊


 「あしたのジョー」などで知られるちばてつやさんの短編集。収録作品は、「風のように」「あるインクの話」「え〜ん」「屋根うらの絵本かき」「茂助じい」「あるあしかの話」の5話である。

 「屋根うらの絵本かき」は、終戦後、満州からの引き揚げの途中に中国人の友人の徐さんにかくまってもらった数ヶ月を描いたものです。このときの経験がちばさんを漫画家にしたのだと思います。その他、「風のように」は、男の子と女の子のヒューマンタッチあふれる作品、「あるインクの話」は、SFっぽい作品、「茂助じい」は、宝石泥棒とじいさんの対決を描いた作品。海を知り尽くしたじいさんが犯人を捕まえることになるわけですが、あっぱれな感じです。「あるあしかの話」は、悲しいお話ですね。

 どれも「あしたのジョー」と同時代に書かれた作品だそうですが、最近は体調を崩されていると聞き、心配です。そういえば、「あしたのジョー」の原画を和紙で残す企画のために福井県に来られる予定もキャンセルになったそうです。お体に十分に気をつけていただき、これからも、少しでも長くかき続けてほしいです。特に、満州や戦争、引き揚げに関する漫画をもっとたくさん残していただけると幸いです。

2022年9月11日日曜日

金子三勇士

 【金子三勇士 ピアノ&トークリサイタル】


日時 9月11日(日)14:00〜

会場 京都府中丹文化センター

プログラム ショパン…革命 雨だれ 子犬のワルツ

      ベートーベン…悲愴 月光 エリーゼのために

      リスト…献呈 ラ・カンパネラ

      アンコール…ハンガリー狂詩曲 G線上のアリア

 演奏の途中に、作曲家や曲に関する解説をはさむ形式。最近増えている気がします。クラッシクに詳しくない人が増えている、または、知っていても曲や作曲家の背景まで詳しく知らない人が増えていて、そのあたりを知って聞いてほしいということだろうと思います。反面、音楽として楽しんでもらえばよいという考えもあると思いますが、やはり、ある程度の知識は必要なのでしょう。

 感想としては、やはりリストの曲がよかったです。かなり古いピアノのようで、リハーサルで部品を交換したそうです。ハンガリー狂詩曲のはじめの音が出なかったどうです。ご愁傷さまでした。


2022年9月8日木曜日

農学と戦争

 【今日の1冊】「農学と戦争 知られざる満洲報国農業」安達太郎他:著 岩波書店:刊


 報国農場、特に福井県の報国農場について知る手がかりがないかと思い読みました。

 福井県の報国農場について、書かれている内容。

1943年 龍興省甘南県平陽村に建設中の興亜開拓団に派遣された興亜女子勤労奉仕隊の実
      践成果が高く評価される。
1944年 興亜報国農場の設置が計画され、福井県農民道場の男子生徒17名が先遣隊とし
      て派遣される。その後、嶺南四郡から募集した105名の第1次女子隊員が渡
      満。
1945年 3月と4月、西隊長以下5名の幹部と嶺南4郡からなる女子青年団より69名、
      農兵隊隊員3名を含む77名の女子挺身隊が興亜報国農場に旅立つ。途中、気比
      神社に参拝している。
1945年 6月、西隊長はじめ3名が応召し、幹部が半減する。
1945年 8月、敗戦を知らされた女子隊員は国民学校に集められ、自決か生き延びるかの
         選択を迫られるが、全員再起を選択する。校長先生一家は、ピストルで自
         決する。
      ソ連侵攻後は、匪賊による襲撃にあい、熊本県出身者の東洋開拓団に避難する
      も、その後、興亜開拓団に分散して越冬し、くじ引きで4グループに別れ、最終
      的にはチチハルに出て、葫蘆島に南下し、1946年10月5日、日本に帰国。
      2名の役員と24名の隊員が犠牲になり、日本に帰国できなかった。

 改めてわかったこと。
①1945年に派遣されたものは、農兵隊隊員と女子挺身隊であること。
②ソ連侵攻後に他県の報国農場と合流したと聞いていたが、それは、熊本県の東洋開拓団で
 あること。
③敗戦の知らせを聞いて、自決か生き延びるかという選択を突きつけられていたこと。自決の
 場合は、毒(青酸カリ?)入りの味噌汁を飲むことになっていたこと。
④帰路のルートは、チチハル→葫蘆島であったこと。