2022年12月11日日曜日

ラーゲリより愛を込めて

12月10日、舞鶴八千代館で 映画「ラーゲリより愛を込めて」を見ました。この映画は、12月9日から公開されているものです。実話がもとになっており、原作は「収容所から来た遺書」(辺見じゅん:著)です。原作は、ずっと以前に読みました。





 映画は、大変素晴らしいものでした。主人公は「山本幡男」さん。山本さんについて簡単に紹介する。

「山本幡男は、第二次世界大戦終結後に旧ソビエト連邦によるシベリア抑留を経験した日本人の1人である。日本への帰国が絶望的な状況下において、強制収容所内の日本人俘虜たちに日本の文化と帰国への希望を広め、一同の精神的支柱になり続けた。山本さんは帰国の夢が叶わず収容所内で病死したが、死の間際に家族あての遺書を残しており、同志たちがその文面を暗記することで遺族へ届けたことで知られている。」

 どうして、同僚たちは遺書を暗記して届けたのか?それほどまでに、山本幡男さんは、俘虜たちから慕われていたのか。映画を見ると、その理由がわかる。

 山本幡男さんは、日本人俘虜たちに、日本文化と帰国への希望を広め、一同の精神的支柱になり続けた。山本幡男さんは、句会などを通じて、俘虜たちが、日本や日本語を忘れないように努めた。また、映画の同時通訳をしたり、脚本作りをしたり、上映に際する交渉役まで務めた。また、映画にあったように、草野球のアナウンサー役などもこなした。「アムール句会」の活動は、重労働を忘れさせ、時には、自然を愛する余裕をも与えた。山本さんの信念を貫いた生き方がほかの俘虜たちに希望を与えた。

 日本への帰国(ダモイ)の思いを持ち続けることは、日本や日本語を忘れないことなのだとわかります。

 遺書は、家族にあてたものではありますが、その内容は、すべての日本人に宛てたものかも知れません。

 なお、遺書は、暗記以外の方法でも届けられたそうです。遺書の一部が、すでに届けられていることを知ってもなお、遺書を届けた。彼らにとっては、伝えることが生きる希望だったのだと思います。そんな、山本幡男と強い絆で結ばれた俘虜たちの生きる希望の物語である。

 多くの方々に、ぜひ見てほしい映画である。

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