2022年7月28日木曜日

太平洋戦争と子どもたち

【今日の1冊】「事典 太平洋戦争と子どもたち」浅井春夫他:編 吉川弘文館:著


 「戦争が子どもたちにもたらすものが何か」を様々な状況ごとに明らかにした本であり、大変読みやすく、参考になりました。

 子どもたちが戦争に巻き込まれた責任は、大人にあります。さらに、その国の為政者にあります。どうして、戦争が起こり、どのように子どもたちが巻き込まれていったのかを歴史的に明らかにしなければならない。そして、二度と同じことが起こらないようにしなければならない。

 そのためにも、「戦争の記憶をどのように継承するか」ということに関心があります。しかし、戦争を体験したことがないわたしたちが、戦争の本当の姿をつかみ教訓化することができるのだろうか、その資格はあるのだろうかとと悩むこともあります。戦争を体験した世代に言わせれば、「戦争は、経験したものにしかわからない」と言われるかもしれません。しかし、経験してからでは遅いのも事実です。どんなことがあっても、また戦争をおこしてはならないわけです。
 現実は、過去や歴史の延長線上にあります。その歴史を振り返り、歴史事実を反省したうえに、未来への道標を描くことができるのはないでしょうか。いまを生きる者として、何を語り、どう行動するのか、子どもたちとわたしたちの未来が奪われないようにするために、わたしたちは戦争を語り、何を大切にしたいのかを考え続けることが大切だと考えます。それは、ある意味で、一人一人の新たな生き方を模索することではないか。

 「体験者の苦しみを自分のものと感じ、ともにあろうとする姿勢こそが、理性や感性を通して戦争体験が吸収され、非体験者の血肉に換えられていくのではないか。」という指摘にも同感します。その先に、新たな伝え手としての道が開かれていくのではないかと思います。

 この本を読んで、「この国では、戦中、戦後を通じて、子どもたちへの無関心が続いているのではないか」という意見に同感します。いま、ウクライナで起こっていることなどを知らせながら、戦争とは何かを語り続けることに意義があると思います。戦争で犠牲になるのは、いつも、国民や子どもたちです。民間人の大量殺戮が戦争の本質であることを伝えたいと思います。

 戦争の経験を忘れ去ってはいけない。命を奪い、尊厳を奪う戦争を根絶するまで継承の方法は模索され続ける。継承を諦めない姿勢は、きっと新たな戦争への抑止につながると信じます。少しではありますが、お役に立てればと思います。

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