2022年10月18日火曜日

旅たて荒野

 【今日の1冊】「旅たて荒野」横山孝雄:作・画


 作者の横山孝雄氏は、中華民国北京生まれ。父の仕事の関係で、主に長江下流域の中小都市で幼少期を過ごしたそうである。1946年、敗戦後、両親の故郷である福島県新地町に引き揚げてこられた。子どもの頃からマンガに興味があったようで、修学旅行の途中に抜けだして石森章太郎に会いに行ったこともあったそうである。高校卒業後上京し玩具会社に就職し、デザイン部で働く傍ら、休日にはトキワ荘に足しげく通い、その後会社を辞め、赤塚不二夫のアシスタント第1号となり、その後、フジオ・プロの設立にも参加し、赤塚不二夫のマネージャーとなったそうである。

 今回読んた『旅たて荒野』は、その頃の作品であり、中国から引き揚げてこられる間の話が中心である。混乱期の中、される側とする側の立場の逆転をとおして、気づいたり、考えたりしたことが分かる作品であり、その時、その時の判断をどうするかがこの時代の人々の生死を分けたことがよくわかる。

 しかし、戦争というのは人間の心をゆがめるものだと嫌なほど気付かされる。日本の軍人たちの態度も気になる。(馬を撃つシーンなど。)それは、戦争に責任があることなのか、軍隊の本質に関わることなのか判断できないが。しかし、そういうなかであっても、やさしく接してくれる中国人の姿が心に残る。見方を変えたり、大局に立って捉え方を変えると、また違うマンガになりそうな気もする。20年ぶりくらいに久々に読んでみました。懐かしかった。

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