2023年4月8日土曜日

土を喰らう十二ヵ月

 【土を喰らう十二ヵ月】

 今年度、初めての映画。水上勉さんの料理エッセイ「土を喰う日々 わが精進十二カ月」をもとにした映画。



 長野の山荘で暮らす作家のツトム(水上さん?)。山で採れた実やキノコ、畑で育てた野菜などを料理して過ごしている。そんな彼のもとには時折、担当編集者である恋人の真知子さんが訪ねてきて、旬の食材を料理して一緒に食べる。禅寺に奉公に出され、子どもの時から精進料理を身に着けた彼にとって、畑で育てた野菜や山で収穫する山菜などを使って作る料理は楽しみのひとつといえる。このあたりは、水上さんの実話と重なる。当たり前か?

 主演の沢田研二さんの演技が素晴らしい。また、松さんはじめ脇を固める役者たちの演技もよかった。奈良岡朋子は遺作になるのだろうか。時折、滑稽な場面もあっておもしろかった。葬儀の場面のやりとりがおもしろかった。棺桶の大きいことや写真が大きいこと、料理に対する近所のお母さんたちの会話などである。

 心臓の病気を患ってから「みなさん、さようなら」といって眠る場面がなんともいえなかった。そんな風に逝けたら、いいかも知れない。

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