2024年1月11日木曜日

1945 わたしの満洲脱出記

 「1945 わたしの満洲脱出記」稲毛幸子:著 ハート出版:刊

 1945年8月9日、ソ連参戦後、満州にいた日本人を襲った悲劇の記録は多く残されてる。


 一つは、シベリア抑留と引き揚げの記憶。もう一つは、満州からソ連兵などからの迫害や収奪から逃れ自力で引き揚げてきた記憶。前者については、書籍も多く、わたしたちの目に触れることが多いが、後者については、書籍も少なく断片的にしか理解できていないと感じている。(私が知らないだけかも知れませんが)

 というわけで、意識してその記録を読むようにしている。この本は、その一つである。シベリアからの引き揚げの記録は、総括的にまとめられたものが多いことに比べると、満州からの引き揚げの記録は、個人的な記録が多く、検証しないといけない面もあるかも知れないが、反面、生々しく、作者の思いがストレートに伝わっきて、心を打つ。通史的な知識の隙間を受けるものとしても、こういった個人の記憶は、ぜひ遺しておかなければならないと思っている。

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