2008年10月14日火曜日

気骨の判決

「気骨の判決 東条英機と闘った裁判官」清水 聡著 新潮社
 昭和20年3月1日、大審院裁判長 吉田 久氏は、「翼賛選挙」の無効を訴えた訴訟で「選挙は無効とする」という画期的な判決を出した。判決の朝、氏が「もう、帰ってこられないかもしれない」と語ったように、当時の状況を考えるとまさに命がけの行為であったと考えられる。 このような裁判官がいたことが驚きであるが、さらに、氏が福井県の出身であったことがもっと驚きである。(7月10日の福井空襲のころも福井市におられ、長女が亡くなっている。)白川 静氏、先頃ノーベル物理学賞を受賞された南部陽一郎氏、そして、吉田 久氏と本県の誇りとする人がまたひとりふえた。
 「正義とは何か」という問いに、「正義とは、倒れているおばあさんがいれば、背負って病院に連れて行ってあげるようなことだ」と答えられたそうである。吉田さんの人柄がうかえることがである。

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