2020年9月10日木曜日

「学び合う教室文化」をすべての教室に

【今日の1冊】
「学び合う教室文化」をすべての教室に 古屋和久:著 世織書房:刊



 ETV特集「輝け 二十八の瞳」で有名な?古屋和久さんの著書です。2018年に発行されていたのですが、不覚にも知りませんでした。ということで、早速購入して読みました。気になった内容を書き留めたいと思います。これは、いつもそうですが、まとめを書くというのではなく、いつでも内容をふりかえることができるように書いておくもので、書評というようなものではありません。

 題名にもあるように、「学び合う教室文化」をつくるためには、「アクティブな聴き方」を身につけさせることが重要であると述べておられます。それは、テキストとのつながりや仲間の考えとのつながりを意識しながら聴くことです。「アクティブな聴き方」について、次のような力を育てたいと述べておられます。

 ①相手が伝えたいことを自分の言葉で伝えることができる。
 ②相手がどこでそう考えたのか、根拠をさぐることができる。
 ③聴いた内容について、感想や考えたこと、疑問などを自分の言葉にすることができる。
 そのための教室掲示も紹介されています。

【話の聴き方】毎日「話の聴き方」をきたえよう

①話をしている人の方を向く。(あたりまえの聴き方)
・テキスト(教科書など)や黒板などを見ながら聴くのはよい。
②聴きながら、心の中で「おしやべり」をする。
・「どこでそう考えたのだろう。」
・「だ·れの考えとにているだろう。」
・「自分の考えとくらぺてどうだろう。」
③聴きながら「わからない」ことを見つける。
・かんたんに「わかった」と言わない。
・その人の考えをもっとわかるために「わからない」ことを見つけ、聴き終わったらすぐに質問する。
④聴いたあと、話の内容を人に伝えることができる。
・「○○さんの話を説明して」と言われた時、自分の言葉で説明できるようにしておく。
・自分の言葉で説明できないのは「わかっていない」ということ。
・「もうー回言って」と自分で説明できるまで説明してもらう。
⑤聴いたあと、その話についての感想が言える。
・授業の中で「今の◯○さんの考えにっいてどう思う?」と聞かれた時に話ができる。
・仲間が言葉につまった時、いっLよに考えたり、そのつづきを想像する。
・何もしないで待っな!自分が話しているつもりで、いっLよに言葉を考える。
⑦仲間から話を引き出す努力をする。
・「○○さんが話してくれない」と、人のせいにせず、自分から積極的に相手の話を引き出す努力をする。

【話の伝え方】毎日「話の伝え方」をきたえよう

①友だちに言葉が届いているか考えながら話す。
(友だちの表情を見ながら話すくせをっける。)
・自分の話をちやんと聴いているかな?
・自分の考えが伝わっているかな?
・わからなそうな表情をしている人がいないかな?
・話を聴いていない人や「よくわかっていないなあ」と感じた人がいたら「○○さん、いい?」と、さりげなく声をかけよう・
②書いたものを読んでも、相手に伝わらない。
・いつも自分の言葉で話す。
・書いたものを何度見てもかまわない。けれど、読んではいけない。話す時には、書いたものから目をはなL、聴いている人の方を向く。
③「もう1回言って?」とたのまれたら、同じことを言わないで、相手にわかってもらうための工夫をして話す。
・短く切りながら「ここまでいい?」と確認しながら話す。
・どうしたら相手に伝わるか言葉や表現を工夫する。
・「どう言ったらわかってもらえるかな?」と仲間にアドバイスをもらう。


「学び合い」は「聴き合い」である。この「学び合う教室文化づくり」にとって重要になるのが、「わからない」に対するマイナスイメージに変え、「どうやるの?」という問いかけの言葉を教室にあふれさすことである。「わからない」と自由に口にできる雰囲気をつくり、「わからないこと」を笑ったりバカにしたりしない教室をつくることが重要である。氏の言う「わからない達人」像も示されている。

【わからないの達人】

①いつも「わからない」をさがしている。
②すぐにわかったっもりにならない。自分に「本当にわかったの?」
 と聞くことができる。
③友だちの話を聞きながら「そこがわからない」と言うことができる。
④「わからない」ことは、何度も繰り返して聞くことができる。
⑤「わからない」を見つけるとうれしくなる。
⑥「わからない」を「わかる」にするために。自分で何かをやってみる。
⑦友だちの「わからない」が気になり「知りたいと思う。
⑧友だちの「わからない」を、「おもしろいこと考えたね」とほめることができる。
⑨友だちから「いいわからないを見つけたねえ」と、よく言われる。
⑩友だちの「わからない」を、いっしよに考えることが楽しいと思う。
⑪友だちの「わからない」を見つけることができる。
⑫「わからない」をしっかりノートに書いて記録している。

 子供たちにこれらを理解させるために、イメージを言葉で語ったり、写真やビデオを見せることも有効であるとのべておられる点には同感である。教師も見る必要があると感じている。多くの学校で、自力解決→ペア学習→学び合い→全体学習という学習過程をよく見かけるが、ここでは、学び合いを授業の1ステップととらえている。自力解決と学び合いを分ける必要はないと考えるが、自力解決=一人学習ととらえる人が多いようだ。

 最後に、「学び合う教室文化」を支える実践として、以下の4つが紹介されている。
 ①教科日誌
 ②社会科教科書の読み方
 ③一日のふりかえり
 ④学びWALL

 このなかでは、②社会科教科書の読み方が大変参考になった。予習のために教科書を徹底的に読ませるのだそうだ。それには、4つの読み方があると紹介されている。
 ①当たり前読み
 ②なぜ、たぶん読み
 ③問題づくり読み
 ④書きながら読み

 また、④学びWALLの興味深い。アートがある空間、知的な空間づくりが紹介されいている。
 是非参考にしてほしい1冊である。 

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