2009年8月2日日曜日

世阿弥その1「初心」

【世阿弥その1「初心」】
 「初心忘るばからず」この言葉が世阿弥の言葉であると知ったのは、恥ずかしながら1年ほど前である。そして、さらにはずかしいことに、これまでその意味を浅くしか知らずに、「はじめの志を忘れてはならない」と言う意味であると思っていた。もちろんこれでも間違いとは言えないのであろうが、本当はもう少し深い。
 世阿弥にとって「初心」とは、新しい事態に対応するときの方法であり、試練を乗り越えていくときの戦略のことらしい。世阿弥の言葉に「老後の初心忘するべからず」といいうことばあるように、三つの「初心」があるらしく、若いときの「初心」を忘れてはならないのは、若いときの失敗や試練を忘れないことがのちの成功のもとになるということ。
 つまり、「初心忘るべからず」とは、いままで経験したことのないような事態に対して、自分の未熟さを知りながら、それに挑戦していく心の構えであるということらしい。試練を通して人生を生き直す。初心ははまさに人生の戦略であるということか。

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