2014年5月16日金曜日

モーツァルトはおことわり

【今日の本】「モーツァルトはおことわり」マイケル・モーバーゴ:著 岩崎書店:刊

 図書室で見つけて読みました。題名に惹かれて。読書感想文の課題図書だったのですね。知りませんでした。絵本なんでしょうか?それにしては、文字が多いかな。
 パオロ・レヴィはモーツァルトを弾かない。それには、ナチスによるユダヤ人強制収容のつらく悲しい背景がありました。しかし、幼いパオロによって、その扉が開かれ、父と母、そして、バンジャマンを再会させる。そして、パオロはバイオリニストの道を歩む。しかし、父はモーツァルトだけは弾かないようにと約束させる。モーツァルトの曲には、いまわしい記憶がつきまとう。強制収容所でユダヤ人を迎えるときに弾かされたこと、そして、自分たちだけが優遇されたことへの罪悪感などである。
 でも、パオロは50歳の誕生日にモーツァルトを弾くことにしているらしい。つらい過去を乗り越えるかのように。ホロコーストの問題は、重大な人権問題として、もっともっと学んでいく必要がある。人が人を差別することの醜さ、そして、どんなに大きな傷を負わせるか。かかわっていきたい大きなテーマである。
 話はかわるが、「スペリオール」に「雄飛」というマンガが掲載されている。小山ゆうさんのマンガである。「AZUMI」がいつの間にか終わっていて、その代わりの連載である。いつもながらの同じ顔なのだが、これが面白い。そのなかに、こんな台詞がある。「僕といっしょに満州から引き揚げてくる途中、日本人の男に殺されたんだ!!僕の目の前で…」戦争は多くの人の命を奪う。しかし、よく見ると、日本人が日本人に命を奪われることも実はたくさんあったと思われる(結果としてというのもあわせると)。満州で逃亡中など、鳴き声がうるさいと中国人に見つかると言われて、泣く泣く子どもを…というようなことも含めると。極限状態での人間の心理も怖いものである。
 今の若者はという話をするとき、戦争中はよかったというような話をする人がいる。でも、それは違うと思う。そういって、戦争を美化する人たちが。戦争は秘密から始まるという人もいる。真実をしっかりと伝えることが今とても重要であると思う。そんなことを思ってしまいました。

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