2022年3月3日木曜日

シベリア抑留

【今日の1冊】

「シベリア抑留 米ソ関係の中での変容」小林昭菜:著 岩波書店: 刊


 先日参加したレクチャーコンサートの講師であった小林先生の著書。お話しをお聞きして、大変興味を持ったので購入しました。

 これまでに引揚について読んだ本は、どちらかといえば古い本で、体験記など、元にしている資料に限りがあったのですが、ゴルバチョフのペレストロイカ以降に公開されたソ連公文書などの資料をもとに書かれており、大変興味深い内容でした。巻末の参考文献のページだけでも40ページもあることからもそのことがうかがえます。

 はじめは、労働力確保のための始まった抑留が、冷戦の進行のなかで、親ソ化を担う人材を育成するためへと変化したという面があったことがわかります。結局、抑留者のみなさんは、終戦直後の米ソの主導権争い、大きくいえば、冷戦下での米ソの思惑に翻弄されたといえるのではないでしょうか。そもそもソ連の参戦自体が、米ソの主導権争いの結果ですから。

 話は変わりますが、2022年3月3日は、全国水平社創立100周年にあたります。さまざまな取り組みが予定されていると思いますが、改めて、創立100周年を迎え、この問題の今日的な到達点に立ち、その歴史的意義について考えることが必要だと思います。

0 件のコメント: