2022年3月8日火曜日

ぼく

【今日の1冊】 「ぼく」谷川俊太郎:著 合田里美:絵

 この本は、死をめぐる絵本シリーズ 「闇は光の母」の三作目?に当たる作品です。


 「ぼく」がかかえている思いは、「ぼく」にしかわからないもので、ほかのだれにも理解できないものなのかも知れません。しかし、「ぼく」と同じように悩んでいる人は、わたしたちの近くにもいるかも知れません。友だちといたいと思ったり、麦茶やおにぎりのことを考えたりしている、どこにでも普通にいる「ぼく」のことに、わたしたちは気づくことができるでしょうか。

 「ぼく」は、生きたかったはずです。それなら、どうしたら、生きることができたのでしょうか。どうしたら、「ぼく」の気持ちを理解することができたのでしょうか。周囲に全く話そうとしなかった思いに気づくことができたでしょうか。いや、理解できたら、死なずにすんだのでしょうか。

 この絵本は、「ぼく」のことを知ろうとすることの大切さに気づくことを通じて、読者自身が自分のことを考えることの大切さを絵本です。今、学校には、教室に入りたくても入れない子、教室からとび出してしまう子、不登校で学校に登校できない子などがいます。なぜと考えるとき、個人の特性にばかりが話題になりがちですが、教室には入ることができない子がうるのなら、その子を受け入れられない周囲がある、そういう雰囲気があると考えることが大切だと思います。「その子」の問題は「わたしたち」の課題であるはずです。この絵本の「ぼく」は、自分自身かも知れない。そんなことに気づけたら、そんな風に考えることができたら素敵だと思います。

 おもしろかったので、残りの4巻も注文してしまいました。

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