2021年1月13日水曜日

長き沈黙

 【今日の1冊】

「長き沈黙(増補版)父が語った悪魔の731部隊」神谷則明:著 

                      かもがわ出版:刊


 神谷さんは、731部隊の罪状を告白したお父さんの遺志を受けて、「語り」活動をおこなってこられた。「残虐非道の教訓から何を学ぶのか」という副題から、戦争の真実を学び取ってほしいという氏の強い思いが伝わってくる。この本を読んでから、NHKスペシャル「731部隊の真実」とおいう番組を視聴した。ハバロフスク裁判の肉声による資料から、生々しい実態が伝わり、当時大きな反響だったことを思い出した。しかし一方で、「でっち上げだ」「NHKの大誤報」「つくり話」といった声が上がったのも覚えている。こういった報道には、はじめは「否定」、そして、次第に「どこの国でもやっていた」「やむを得なかった」といった論調になるのが常である。従軍慰安婦の問題なども同様である。しゃべったら殺されるとかたく口を閉ざしてきた方々が勇気と決意を持って話しておられるのとは大違いであると感じられ、残念で鳴らない、いや怒りさえ感じる。改めて悲惨な戦争の実相を後世に伝えることが重要であると感じる。

 今回、731部隊の関係者が帝銀事件で疑われていたことや部隊に係わった方々が、戦後医学界や薬学会の中心んい返り咲いていることを知って驚いた。ミドリ十字の事件など、全く反省がないように感じ、憤りを感じる。繰り返しになるが、悲惨な戦争の実相を後世に伝えることが重要であり、そのために少しでも貢献できたらと思う。

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