2021年1月22日金曜日

「駅の子」の闘い

【今日の1冊】

「『駅の子』の闘い 戦争孤児たちの埋もれていた戦後史」

             中村光博:著 幻冬舎新書:刊



 「駅の子」とは、戦争で親をなくし、路上生活を強いられた戦争孤児たちのこと。彼らの飢えと寒さとの闘いは、戦争が終わってから始まりました。戦争が終わったからと言って、すべてが終わったわけではないのです。むしろ一層苦しい生活の始まりでありました。国からも、まわりの大人たちからも排除され、厳しい生活を余儀なくされました。以前にも書いたが、知っているようで、わかっていませんでした。きちんと報道されなかったこと、また、彼らも「過去を知られたら差別される」「思い出したくない」と口を閉ざしてきたこともありが、それは理由になりません。不勉強と反省させられました。そんな中、「二度と戦争を起こしてほしくない」という思いから取材に応じてくださった方々の文章を読ませていただきました。

 読んで、一番に思いだされるのが、「火垂るの墓」のラストのシーンでした。まさしく、「駅の子」が描かれていたのです。当時は、あまりに見るのが辛くて、あまり好きではありませんでしたが、改めて見てみようと思います。

 そして、こうして読みおえてみると、いじめや不登校、虐待、貧困など、今この瞬間も、さまざまな困難を抱え、苦しんでいる子供たちは日本中にたくさんいます。これは決して終戦時の問題ではなく、まさしく今の問題であるとわかります。今の子供たちに、「駅の子」たちと同じ思いをさせてはならない。私たち大人にはそういう責任があると思います。個人的には、戦争孤児の問題はまだまだ展開しそうです。

【もう1冊】

「もし虫と話せたら」須田研司:編集 プレジデント社:刊


 副題は、「昆虫が教えてくれた生きづらい世の中を生き抜く自然の鉄則15 」です。目新しいことはありませんでした。小学生でも読めそうな気がします。雑誌「プレジデント」に書評が載っていたので、もっと深い内容かと思いました。

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