2021年7月1日木曜日

ボクの満州

 【今日の1冊】「ボクの満州」中国引揚げ漫画家の会:編 亜紀書房:刊


 戦後50年という節目に出版したマンガ家による満州、中国引揚げ体験記です。

 赤塚不二夫、古谷三敏、ちばてつや、森田拳次、北見けんいち、山内ジョージ、横山孝雄、高井研一郎が満州、中国生まれ。上田トシコは、韓国生まれとなります。(敬称なしですみません)それぞれ住んでいた場所、育った状況、体験は違っていますが、いつも死と隣り合わせにいたと思われます。

 いうまでもなく、満州国とは、昭和7年にできた国で、13年と5か月しか続かなかった国です。当時、日本軍は中国東北部で陰謀、謀略を繰り返し満州事変を起こし、清王朝皇帝溥儀を担ぎ出して満州国をつくります。当然、それは中国人から指示された国ではなく、日本人にとっても、王道楽土の理想郷ではなかったことはいうまでもありません。

 この本に書かれた体験は、今絵に描き、文章に書いておかないと消えてしまうという実感に基づいていて、戦後50年たって、やむにやまれない思いをまとめたものです。みなさん、ご高齢で、実際、赤塚不二夫さんはなくなっています。

 昭和21年5月から23年8月までに、新京、奉天に集結して葫蘆島を通過して日本に引き揚げた満州関係車は百万人以上いました。また、大連から引き揚げることができたものは22万5千人いました。このあと、満州に残った日本人は約6万人でした。終戦時、海外にいた日本人は約660万人でしたが、華北、華中、華南、台湾にいた約250万人の軍民は1年数が月の間に組織的、迅速に引揚げが行われ、人員の損失率は5%。満州からの引揚げは何年もかかり約10数万人が死亡した。こうした中で、大陸に残された子供は3000人から5000人、またそれ以上ともいわれ、残留孤児になったと思われます。

 9人のマンガ家の心の底には、この満州や中国での日々が心の底にこびりついていた。同じような体験をしたことのない人に、また、戦争も引揚げも知らない若い人たちに子供たちに、二度とこういう体験はさせたくないという思いを込めて書かれた作品と言えます。あまりしっかりとした紹介ができずに申し訳ありません。でも、わたしたちには、こういう思いを引き継ぐ責任があると思います。そのためにも、もっともっと学習しなければと思います。今後ともがんばります。

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